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Web日記(web-nikki)

レッスンのオンライン対応に向けて実施したこと

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まだまだ課題が残っているのですが、学校関係者の多くがオンライン移行を進めている中で少しでも知見をシェアしたいと思います。 速報性を重視して公開しますが、未だ進行中の課題でもあるので、組織としての記事ではなく、あくまで個人の記事としてご理解いただけると助かります。

背景

  • 平時はリアルな教室にて英語の授業を行っている
  • 教師はTOEFL100点以上を持つバイリンガル教師(アルバイト)
  • 生徒が自分を進めながら教師が英語を教えたりコーチングをしたりする
  • 個別指導よりだが、複数の教師が複数の生徒を見る形で授業をしている
  • 学習環境をよくするために独自のLMS(学習管理システム、これを普段開発してます)を使用している
  • 上記のLMSを使うために、通常時からiPadを活用している
  • オンライン完全のライティング添削サービス(これも普段開発してます)も教材として提供している

まず背景です。良かったのは 組織としてデジタルのリテラシーが高め でオンラインをベースとした学習の仕組みがあること。一方でオンライン化が難しいのが、教室を使った学習環境の整備やコーチング や 個別指導的な学習 といった対面して価値を発揮するものを競争力としていこと。これらについて後でまた説明します。

はじめに行ったこと

  • まず対策準備室を作り小さなチームで検証作業の計画を立て、目的をき目、それに沿ってリサーチを進める
  • 同時並行で休校対応の連絡体制のチェックリストの作成
  • 社員、教師、生徒にむけてPC環境、インターネット環境、カメラマイク環境のヒアリングを実施

まずは小さなチームで計画づくりをしました。使用するツールや手順など不明点が多いので、まずは検証作業をすすめることが急務になります。普段準備もしていないのに、いきなりサービス提供はできません。同時に、目的を失わないように、まずはチームの目的の合意をつくります。

(普段からオンラインで講義動画とか配信してるところは準備ができてるので素晴らしい…)

ハーバード大学とMITもオンライン講義に、新型コロナ対策で _新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がボストンの生物医学コミュニティに広がる中、ハーバード大学はオンライン講義への移行を発表し、学生に対して春休み明けに大学へ戻らないよう呼びかけている。 …_www.technologyreview.jp

並行して、休校対応のチェックリスト作りをします。オンラインのレッスン準備もしながら、緊急時の連絡作業を並行することは、相当消耗します。なるべく消耗しない体制に移行するため早急にリストづくりをしました。(効率化のためのタスク処理自動化のためのコードを書くなどもしています)

また体制づくりで参考にしたのが下記の記事です。いま東京都の副知事、宮坂さんの記事です。リモートでやるのでいくつかは調整してます。

重大事故の時にどうするか?|miyasaka|note _ヤフー時代の部下から突然メッセンジャーが。 「以前宮坂さんが緊急対応時に残して頂いた言葉を今度セミナーで使っていいですか?」 と。 …_note.com

同時に、早々に障害になるであろう、環境面の調査も実施します。社員に関しては、インターネット環境がないメンバーにはモバイルWIFIの手配などを早急に進めました。時間の掛かりそうな課題は早めに潰しておきます。調査事項も社員→教師→生徒と段々と回答を集めながら見直しをしました。回答を見て、調査項目を追加したりできるからです。

この時点で、生徒や保護者が何をもとめているのか可能な限り明らかにしておくと良いと思います。おそらく、安全性、学力の向上だけでなく、様々な要望があるはずです。アンケート結果を通じて優先度の高い要望から解決していくのが大事だと思います。

検証作業

優先度の大枠が得られたら、検証作業はまずドキュメントづくりからです。どんなところがハードルになるか書き出し、チームメンバーでレビューをし、段々とイメージを固めていきます。だいたいできるイメージができたら、社内でトライアルレッスンを実施します。

この際に、レッスンの中身も絞ります。すべてのレッスンをやろうとするととても時間がかかってしまうので、一部のカリキュラムに絞って実施します。僕らはけっこう大変だったのが個別指導的な学習だったことです。おそらく、講座形式の先生が多くの生徒に座学で学んでもらう形式の授業であれば、もっと簡単に提供できると思います。

ここまですすめると、何がボトルネックになってくるのかが明らかになってきます。今回は、ボトルネックの解消も大事なのですが、何ができて、何ができないかを明らかにすることを優先しました。できること、できないことを明らになったら次に進み、ボトルネックのことは後で考える。

例えば、教室で使っている印刷物を用意するのは大変そうでした。なのでデータで送る、またはそのカリキュラムの代わりになるもの用意する、またはやらないと判断をすることです。

これらのボトルネックは、ある程度、出揃った段階で、最初の検証作業の目的に立ち返り、解消すべきボトルネックの優先度をつけて、ボトルネックの解消を実施してくフェーズに入ります。

段々と検証作業をしていくると、オンラインレッスンの知識も増えてきます、この段階でトライアル範囲を拡大して実際に生徒や教師もふくめてトライアル枠を拡大していきました。トライアルを始める前に、必ずアンケート項目を作成し(Google フォームなどで)トライアル実施後、回答をしてもらいます。回答から、次の改善を実施していきます。

現在はこの段階で、絶賛改善サイクルを回し続けています。大きく前進したのは数十名にオンラインレッスンを提供できたこと、また改善サイクルを早期に回し始めることができるようになったことです。

今後について

今後については、tweet にも書いたようにまだまだ多くの改善しなくてはいけないポイントが残っています。特にキャパシティの問題は大きな課題です。現状の改善サイクルは、なるべく実施可能なもの中のうち、優先度をつけて取り組んでいるので、抜本的なブレークスルーは特にハードルが高いです。ひょっとすると改善サイクルとは別に、長期的な視点に立った開発が必要になるかもしれません。いずれにせよ状況を見ながら、引き続き課題に取り組んでいきます。続報があれば共有します。

個人的にはオンラインレッスンの取り組みに際して、普段開発時に意識している、アジャイル、リーン、自走するチームといったことがとても役立ちました。学校関係者においてはあまり馴染みがないかもしれませんが、こうした不確実性の高い状況下において、できることから始める、やってみて学びを得て、改善を続けるというアプローチは有効だと考えます。参考になれば幸いです。