エンジニアを育成することについて
昨今、インターネット界隈でエンジニアの育成について議論があったりしたので自分の考えをまとめておくことにします。まず印象に残ったコメントとしては下記のようなものがありました。
- 自分は誰かに教えもらうというより自分で勉強した
- エンジニアはスポーツ選手のようなもの
- エンジニアはプライベートでも勉強すべき
- プログラミングが好きであれば勉強は苦でない、そうでないなら職務のミスマッチ
- エンジニアは時間外労働としてのプライベートでの勉強はすべきではない
- (組み込みエンジニアとかであれば業務内での勉強で大丈夫)
- 成長しやすい環境というのものはある
- エンジニアに限らず勉強しないで成果を得たいのは違うのでは
自分の意見をまとめておくと下記のとおりです。
- エンジニアが育成できる環境・仕組みを作ることはできる
- 会社組織はそのような環境を用意すべきである
- 環境を完璧に用意できたとしても優れたエンジニアになれる100%保証はない
- 優れたエンジニアには、アサインされる職務、報酬、などの待遇は考慮するべきである
- 優れたエンジニアはプライベートでもプログラミングに関する勉強をしている
- 会社組織として業務時間外での労働を強要してはならない
- 強いチームは多様性のあるチームであり、それはプログラミング知識のみで構成されるわけではない
- 会社組織としてプライベートでプログラミング学習しないエンジニアも能力を発揮できる組織デザインをしていくべきである
- その際に優れたエンジニアは優れたエンジニアと働きたいということも考慮されるべきである
- 個人の価値観を、組織としては押し付けてはいけないが、個人間では価値観の共有は行われるべきである
- 組織の考えは制度設計で反映されるものである
- 個人の考えは報酬などと切り離された安全が確保された場所で伝えなくてないけない
- 個人のキャリア開発として、会社組織は当人の希望を聞きつつ最適なアドバイスをしていくことが、会社組織の強みにつながる
- 最終的には優れたプロダクトを作ることがゴールである。組織や個人の最適解は、状況によって異なる。都度都度、戦略的に優先度をつけて判断すべきである
長くなった…
教育×ITという分野で仕事をしており、また組織のデザインとして開発をしながらもチームデザイン、育成をしていく業務に携わっています。エンジニアリングと教育という2つの専門分野での知見があることもあり、考えをまとめてみました。
最後にその中で追記的に書きたいことを2つ上げておきます。
マインドセットは育成できない
育成をする際にできることと、できないことをはっきりさせておくことが大事です。インターネットが発達した現在学習においての教材はいたるところにあります。学習方法に関する学習をするためのコンテンツさえあります。これらに関しては、本、動画、スクール、ネットの情報など適宜判断をして学習をしていけばよいです。できる人はどんどん進め、やりたいけどうまくできない人にはアドバイスをして行けば良いです。
ただし、マインドセットを育成することはできません。できるのは働きかけ、待つことだけです。やりたくもないことを、押し付けても逆効果です。このマインドセットをいかに作るかと言うのが育成において難しいポイントです。
適切な目標設定、コーチング技術、1on1などの面談、キャリア設定、評価制度、さまざまなな手法でこのマインドセットに働きかける事はできますが、マインドセットをゼロから作ることはできません。マインドセットは自分で作り上げるしかないのです。
業務と関係ないことをプライベートで勉強する
エンジニアの学習や副業をする際には、業務では得られない知識を得られる分野を選択するようにするほうがよりベターです。業務と隣接する分野をやるのもありですし、全くかけ離れた分野をやるのもOKです。ただし、業務で得られることをプライベートで勉強する必要はありません。
副業についても同じ考えで、報酬のために副業をするのであれば、本業で報酬を増やす方をおすすめします。本業で得られない経験、例えばビジネス上の折衝経験や、他分野の意思経験を得られるようにするといいと思います。
よりよいキャリアを開発するだけでなく、長い人生において、これまでの選択とは異なる、非連続な、ジャンプ的な経験をすることは、少なからずあると思います。そうした際に、こうした業務の枠を広げる活動が役に立つことがあります。なので、せっかくプライベートで勉強するのであれば業務と直接関係ないことまで勉強すると良いと思います。
エンジニアだけでなく、良い人生を歩むためには、日々自己研鑽が欠かせません。ときには休養が必要なときもあれば、悩んだり、迷ったりすることもあるかも思います。そうしたことから、様々なコメントをする中でも視野を広げてあげることが、周囲にいる人の責務ではないかと思った次第であります。